「なぁ、本当に病院に俺を連れて行こうとしたわけ?」




「へ?」





普通に歩くのも疲れるだろうと思って、ゆっくり歩いていると、桐ヶ谷くんがふと聞いてきた。






えっと、それって、つ、つまりバレているってこと?





「本当はもっと別の理由があるんじゃねぇの?」





「え、えっと……」






顔を覗き込んでくる桐ヶ谷くんに思わず顔を逸らす。





さっきまで熱のせいで息切れをしていた体調不良はどこへやら。





今では、悪魔のような意地悪な笑みを浮かべている。





「もしかして、後夜祭で俺が告られるの嫌だった、とか?」





「!?」




な、何で分かったの!?もしかしてエスパー!?





「え、図星?」






自分から聞いたくせに、私の反応を見て意外そうに目を大きくする桐ヶ谷くん。





何よ、その反応。こっちが恥ずかしいじゃん。





「ま、まぁ他の女から告られても断るし」






あ、そっか。
桐ヶ谷くんは後夜祭で愛依が告白しようとしていること知らないんだ。





確かに他の女の子から告白されるのも嫌だけど、愛依に告白されることが一番嫌なんだよ。





「……今の意味、分かった?」