カチャ




「お待たせー。君達、少しは……って、叶斗怖いよ」





教室のドアを開けて、成瀬くんは陽気に挨拶した。






睨みを利かせる桐ヶ谷くんに怯えているように見せるけど、全然本気で怯えている感じはない。





「当たり前だろ。いきなりこんなとこに一日閉じ込めやがって。おかげで熱とか出ちまうし。こいつなんか……」






成瀬くんに今にも掴みかかりそうな桐ヶ谷くんの腕を、私が掴んだ。




「って、おい!どこ行くんだよ!」





このままここにいたら、愛依に見つかって後夜祭に参加するになるに決まっている。





そうなる前に、桐ヶ谷くんを学校から出さなきゃ。





「あらら。光凛ちゃんも結構積極的なんだねぇ」






成瀬くんのその言葉はもちろん、私達には聞こえてない。