ケータイ小説 野いちご

影を拾った太陽



「一人で帰るから大丈夫」


誰かと会話できる気がしない。




成瀬くんは一人で帰ろうとしているから同情して誘ってくれているんだろうけど、誰とも話ができなそうなこの状況で一緒に帰るなんて成瀬くんに申し訳ないし。



「俺はただ綾瀬さんと一緒に帰りたいと思って誘っただけだよ?」




こういうこと、きっと誰にでも言っているんだろうな。



成瀬くんって、女慣れしているし。




ダメだ。どんどんひねくれた考えになっている。




これ以上、成瀬くんと一緒にいたら自分がどんどんひねくれていくよ。




「ありがとう。でも、本当に大丈夫だから」




女子に見られたくなくて、少し駆け足で校舎を出て、校門へ向かう。




「本当は女の子達じゃないでしょ、俺といるとこ見られたくないの」




「え……」




後ろから聞こえてきた成瀬くんのその言葉に、思わず足が止まった。





成瀬くんと一緒にいるところを、女の子たちに見られたくない。




だけど、本当は……。 




「叶斗に見られるのが、一番嫌なんじゃない?」





「……」





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