だけど、俺はそれどころじゃない。変わっていると言われるかもしれないが、一年の頃から藤宮にはまったくときめいたことがない。



「ふざけんな。お前の作ったもんなんかいらねぇよ」



俺は基本、女の作ったもんは食べない。



そう、綾瀬が作ったものしか。



それにこれ、藤宮じゃなくて綾瀬が作ったもんだろ。食べなくてもすぐ分かった。



ちょっと盛り付けが雑で、でも頑張った成果が出ている感じ。この前のオムライスの時の盛り付けとそっくりだ。



こいつ、嘘ついてまで俺に弁当渡そうとするなんて何考えてんだよ。



「他の女の子とは違うの。もちろん、光凛とも。ねぇ、私のこと見てよ」



教室を出て行こうとしたら、後ろから腕を掴まれた。



まるで女とは思えないその強い力に、思わず怯む。



何だ?凄く嫌な予感がする。



こいつは自信に満ち溢れている。




自分が声をかければ、誰だって落とせると思っている。そう、光大のように。



でも、あいつはいざという時凄く頼りになる。
本人には絶対言ってやらないけど、凄く良い奴だ。




だけど、この女は違う。



可愛らしい顔で笑っているが、その瞳の奥に何か得体の知れないものを潜ませている。そんな気がした。




確かに他の女とは違う。悪い意味で何かが。