そりゃあ、颯くん自体は怖くない。



颯くんは私が小さいときから懐いていた隣の家に住むお兄ちゃんなのだ。



病院嫌いなのに難病にかかってしまった私を見兼ねて医者になったような、本来は優しい人である。



言われた通りにそっと目を閉じ、覚悟を決めて颯くんの診察を受け入れる。



「いい子、そのまま深呼吸してて。」



聴診器が素肌にダイレクトに触れて、ビクッと身体が反応する。



「ちょっとだけ頑張れ。すぐ終わる。」



颯くんに励まされながら着々と診察が進んでいった。