いや、やっと光大の気持ちが理解できたと言うべきだろうか。











俺はある一人の女に釘付けになった。














藤宮がいるクラスにやって来た俺達は、そのクラスの前の廊下で教室の中を覗いた。











他の男子達もやっていたことだから、そこまで目立ちはしない。
















みんな、予想通り可愛いとかやっぱモデルさんなんじゃね?
とか、色々話しながら言っていたけど、俺はそんなことよりも気になることがあった。


















藤宮の隣で、控えめに立つ女。















地味で、取り分け可愛いわけでもない。














だけど、俺はその女をじっと見ていた。












その女はそこにいるだけじゃなくて、藤宮がより可愛く見えるようにわざと一歩引いている感じがした。













でも、自分のことも見て欲しいとチラチラ男子の方を見ている。















もっとこいつのことを知りたくなった。




だから、このクラスの前を通る度にその女を探した。




もちろん、恋愛初心者の俺に声なんてかけることはできない。






見るだけでも満足とかいう俺に歓声を浴びせる女達と変わらない感情を抱いてしまった。






もしかして、周りの女達もこういうことなのか?





「あの子、綾瀬光凛って言うんだって」




「何だよ、いきなり」


一年の夏。



夏休みに入る直前、光大に突然そう言われた。