明治時代は、江戸時代の長かった鎖国が終わり、近代国家へ向けて様々なことが起こった時代だ。

俺はわくわくしながら、「何がわからなかったんだ?」と訊く。

「最初の五箇条の御誓文から」

二人が同時に言う。ああ、この二人も凪沙たちと一緒か。俺の役割が増えて嬉しいぜ!!

俺はコホンと咳払いを一つし、口を開く。

「五箇条の御誓文は、1868年に天皇が神に誓うという形で出された新政府の方針のことだ。政府は、大名から領地と戸籍を天皇に返させる版籍奉還や、藩を廃止して府と県を置く廃藩置県なども行った。この一連の変革を明治維新と言うんだ」

「へえ〜」

「さらに政府は、天皇の一族を皇族、公家と大名を華族、武士を士族、百姓と町人を平民と改めたんだ。これは皇族以外はみんな平等いう政策で、四民平等と言うんだ。その頃から、身分による結婚などの制限を廃止し、全ての国民は名字を名乗ることができるようになったんだ」

「へえ〜。名字って明治時代にようやく作られたの?」

海斗が驚く。

「政府は、欧米諸国に対抗するために富国強兵政策を進めたんだ。六歳以上の男女に小学校教育を受けさせることを義務とした学制、満二十歳の男性に兵役を義務とした徴兵令、そして土地の所有者に地券を与えて地価の三パーセントを現金で納めさせる地租改正。その他には、殖産興業政策と言って産業も育成させたぞ」