フレームアウトをすると、飯田さんから「本当に素敵だよ」と褒めてもらいながらメガネを返された。

「ありがとうございます」

 一仕事終えた気持ちでメガネをかけて、私はあたりを見回した。すると後ろの方で腕組みをしている社長と視線がぶつかる。

 どきりとした。

 社長の顔は険しかった。眉間にしわを寄せ、睨むように私を見ている。

 だけど、それは怒っているというよりも……。

 いつか社長の部屋で、ふたりで飲んだときのことを思い出した。

 ソファにもたれながら酔った姿を隠そうとしなかった社長。あのときに見たような拗ねたような表情を、彼は今浮かべている。

 な……なんですか、その顔。

 恨めしいような目で睨まれて、胸がドクドク音を立てた。

 やがて社長は曲げていた唇をきゅっと結んで、イソラに視線を戻した。もとの厳しい社長の顔に戻った彼を、私はしばらく見つめてしまった。