美咲姫たちを見送り、しばらく経って正気を取り戻した私は今、学校の屋上に来ている。

ガチャ ギィー…

この学校の管理は甘いから、屋上はいつでも出入り可能だ。

時刻は17時20分。

今の季節は夏だから、まだ日は高いけど、真っ赤に燃える夕日が顔を出そうとしていた。

でも、そんな空の景色も今の私とってはどうでもいいこと。

そして、これからの私にとっても、だ。

だって私は今日ここで死ぬのだから。

さっき美咲姫に言われたからじゃない。

結果的には、キッカケになったけど前々から思ってはいたと思う。

そうじゃなきゃ、急に死にたいなんて思わないだろう。

いじめられ始めたあの日から、今日までずっと蓄積されてきた想いが今日溢れ出た。

ただ、それだけだ。

だから、迷いはない。

「すー…はー……」

一呼吸置いて、鉄の柵に手を掛ける。

網目から見えるこの学校の第一グラウンドでは、運動部が声を出しながら部活動に励んでいる。

その光景を見ると、…嫌でも思い出してしまう。

夢を追いかけ、輝いていたあの頃の私を。

好きな物に全力で打ち込めていたあの頃の私を。