「あー、スッキリした♬︎」

美咲姫はそう言って蹴るのをやめ、帰り支度を始めた。

取り巻き達も支度をし始める。

やっと…やっと終わった…。

そう思ったのも束の間、

グイッ 「痛ッ…!」

美咲姫に髪を引っ張られた。

「ねぇ。アンタにさぁ、言ってないことがあんだよね〜」

そう言って、美咲姫はニコニコ笑っている。

言ってない、こと…?

「な、なに…?」

そんなことを言われるのは初めてだったから、若干声が震えた。

もしかして、もう許して貰えるのだろうか。

明日からは普通の学校生活を送れるのだろうか。

そんな私の微かな期待はすぐに砕かれた。

美咲姫の言葉によって。

「あたしぃー、アンタのこと親友だって思ってたことなんかないんだよねぇー!」

ーーー目の前が真っ暗になった気がした。

自分でわかってたつもりだった。

でも、心のどこかでまだ許して貰えると思っていたのかもしれない。

いや、実際思ってた。

だから、私にダメージを与えるのに今の言葉は十分すぎるほどだった。

「美咲姫、ひどーい!!」

そんなことを言いながらも、取り巻き達は私を見て笑っている。

でも、そんなことはどうでもいい。

今は突きつけられた現実に頭がついていかない。

ただ、死んでしまいたいと思った。

生きていても意味が無いと、思ってしまった。

「あ、言いたいことってそれだけだから。じゃあね〜♬︎」

そう言って、美咲姫は掴んでいた私の髪の毛を離し、取り巻き達と共に教室を出ていった。

私はその後ろ姿を乱れた髪を治すことも出来ず、ただ呆然と眺めていたーーー。