うそ、まさか。もしかして私、墓穴掘っちゃった?
「ひ、ひどい、だましたの?」
「いやいや、まさか当たるとは思わなかったんだよ。つーか、須藤と付き合ってんの?」
「な、なんでそんなこと聞くの?」
できれば蓮のことは私の心の中だけにしまっておきたい。水野君に知られたくない。
「なんでって、気になるから」
まっすぐ射抜くような力強い視線を向けられて、思わずドキッとした。
気になるからって……そんな言い方。すごくドキドキする。
「で、付き合ってんの? 同じこと何回も言わせるんじゃねーよ」
食べる手を止めて、私から視線を外そうとしない水野君。唇を尖らせて、なんだか少しムッとしているように見えなくもない。いや、ううん、まさか。そんなことあるわけないよ。
水野君の大きくてまっすぐな瞳は、まるで私を責めているかのよう。
「つ、付き合って……ない」
私がそう言うと、水野君は「なんだ」とつぶやいて再び箸を進めた。
『なんだ』ってなんだ?
どういう意図があって、そう言ったの?
なんでそこまで蓮とのことを気にするの?
そこに特別な意味はないんだろうけれど、期待しちゃうよ。
水野君がなにを考えているのか、全然わからない。