ケータイ小説 野いちご

【完】キミさえいれば、なにもいらない。

それまで俺は、雪菜と一度も話したことがなくて、クラスも違ったし、顔と苗字を知っている程度だった。


偶然にも俺と雪菜は、漢字一文字違いで同じ苗字だし。


それに彼女の兄、遥先輩と俺は知り合いだったから、前から妹である彼女の存在は知っていて、派手な遥先輩とは全然雰囲気が違うことが、実に意外だった。


なにせ、兄の遥先輩はうちの学校でも有名なチャラ男だ。


女癖が悪くて、泣かせた女は星の数、なんて言われてる。


だけど、遥先輩自身は話すと面白いし、いい人なので、俺は先輩のことがとても好きだった。


まぁ、まさかその先輩の女癖の悪さのせいで、自分が殴られることになるとは思ってもみなかったけど。


今思えばそれで雪菜と知り合えたんだから、逆に良かったんだと思う。


雪菜はとても物静かな子だった。


口数も多くないし、女子の大人数グループで群れたりもしていないし、そんなに目立つタイプではない。


見た目は小柄だし、サラサラの黒いロングヘアが真っ白な肌によく似合っていて、清楚な雰囲気だけれど、話しかけるとわりとそっけなく返される。


フレンドリーな兄の遥先輩とは違って、一見クールというか、警戒心の強い子だなと思った。

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