私の顔を見るといつもなら笑ってくれる蓮が、笑ってくれない。もしかすると、もう嫌われちゃったのかな。

ひどいことを言ったもんね。胸の奥がズキンと痛んだ。でも、ここで怯んじゃいけない。

「蓮の帰りを待ってたんだよ」

蓮の目を見つめ返した。メガネの奥のまっすぐな瞳が、こわい。蓮がなにを考えているのかわからない。

でも、負けちゃダメ。言わなきゃ伝わらない。

「この前はごめん!」

そう言って上半身が地面と平行になるほど、深々と頭を下げた。そしてギュッと目を閉じる。

許してくれないかもしれない。でも、いいんだ。

「あの時、私……友達と色々あって。それで、蓮に八つ当たりっていうか……気持ちがぐちゃぐちゃだったの。ほんとに悪いと思ってる」

ごめんともう一度謝った。また前みたいに蓮と仲良くしたい。バカな言い合いをしたい。

「桃は悪くないから、頭上げろよ」

蓮の声が聞こえた。恐る恐る上半身を上げると、そこにはさっきまでとは打って変わって申し訳なさそうにしている蓮がいる。

「俺がしつこく聞いたのが悪かったんだ」

「ううん、そんなことないよ! 蓮は心配してくれてたのに……私が、悪いんだよ」

うまくいかないことにイライラして、怒りをぶつけてしまった。