「……お前さ」
さらには私のことを“お前”と呼び、いつもの雅の姿がそこにはあった。
「な、何……」
「なんでそれ、今言うんだよ」
「だ、だって……こうして伝えないと、変わらないって思って……」
「それ言って自分のかわいさが広まるって、思わなかった?」
頑張ったなって、褒めてほしいのに、なぜか雅に責められてしまう。
おかしい、私だって頑張って言ったというのに。
「普通に今のはふたりの時に言うことだろ?」
「そんなの知らない」
雅が冷たいことを言うから、不服だ。
じっと雅を見つめる。
頭すら撫でてくれない雅。
「お前の純粋さには呆れる」
「……ひどい」
「いつも俺ばっかり狂わされるし」
「そんなことない」
さらには文句を言われてしまう始末。
呆れた様子の雅に、私が先に限界が訪れて。
「雅」
「なんだよ」
「私ちゃんと言った、自分の気持ち」
「……は?」
「なのに雅は何もしてくれない」
「お前、何言って……」
雅が目を見張る。
だけど今の私には、先を考える余裕はなくて。
雅が好き、どうしようもないくらい好き。
もう、これからはみんなの前でも、ちゃんと自分の気持ちを表に出そうと思った。
今日の、今この瞬間は最初の第一歩。
そう思い私は……雅の腕に、ぎゅっと絡みついて。
もう離さないぞっていう意思表示を込めて、私は行動を起こしてやった。
ただ、この数秒後にクラスはどよめき、本当の私だけでなく、雅の姿も全部バレてしまうことになる。
END