梅雨が訪れ、湿気に苦しめられる6月中旬頃。
「夕美ちゃん!席前後だね、嬉しい!」
「そうだね」
「俺も春坂さんの隣で、ひなこちゃんとも近いしめちゃくちゃ嬉しい!!」
朝のホームルームが行われている教室は、いつも以上にうるさい。
理由はただひとつ、席替えが行われたからだ。
私は右から二列目の真ん中で、前がひなこ、隣が野村だった。
嬉しいはず……なのに、内心複雑だ。
「それにしても、雅だけ離れるなんてな」
理由はただひとつ、今野村が言ったように、雅だけ席が離れてしまったのだ。
「雅くん、よろしくね!」
「勉強とか教えてほしいな……」
さらに雅の周りには男子がおらず、前に私の席だった左から二列目の一番うしろが彼の席だった。