いろいろと察しがいい田中さんに私は何も言えなかった。

田中さん、すご過ぎるにも程があるでしょ…。

「社長が好きなのね?」

そう聞いてきた田中さんに、
「はい、好きです」

私は答えた。

「それならいいわ」

田中さんは返事をすると、資料を棚に入れた。

当たり前だけど、私と社長の関係を秘密にしてくれるみたいだ。

思わぬ質問に驚いたけれど、誰にも口外はしないようでホッと胸をなで下ろした。

資料を棚に入れ終えると、
「それで、社長のどこを好きになったの?」

田中さんが聞いてきた。

「えっ…まあ、全部ですかね」

そう答えた私に、
「フフッ、佃さんらしい」

田中さんはクスクスと笑った。

私らしいって何なんだろう?

…まあ、いいか。