そう、昨日……菅原にキスされたことだって全部。
「……っ」
思い出しただけで顔が熱くなる。
2回も……2回もキスされたのだ。
信じられないし、夢だと思いたいに決まっている。
昨日のことは全部忘れようと思い、私はお母さんに声をかけて家を後にした。
そして駅に着くと、いつもと乗る電車が違うため、当たり前だけれど乗る人の顔ぶれも違っていた。
私は菅原に指定された1両目に乗る。
その電車は、私がいつも乗る時間帯よりも人がさらに多いような気がした。
もちろん座ることができなくて、大人しく立っていると、あっという間に次の駅が見えてくる。
……あっ、見つけた。
車窓からホームを覗けば、すぐ菅原の姿が確認できた。
それだけ存在感があったのだ。
ゆっくりと電車が止まれば、車窓越しに菅原と目が合う。