ケータイ小説 野いちご

腹黒王子のいいなり。



それから何秒かじっとしていると、菅原が小さく息を吐くようにして笑った気がした。

「菅原?」

そして私が名前を呼ぶと、とつぜん私の目尻に菅原の手が触れた。


「……はい、とれたよ」

とれた?


いったい何がとれたのかわからなかったけれど、まだ目を開けていいとは言われてないため確認できない。


「春坂さん?」
「……何」

「もう目開けていいよ?ごめんね」

ここでようやく開けていいと言われ、ゆっくりと目を開ける。


「まつげ、ついてたから」

菅原はそう言って優しく笑った。
なんだ、だから目を閉じさせたのか。

言ってくれたら自分でとったのに、と思いつつもお礼を言った。


「ありがとう」
「どういたしまして。俺、用があるから春坂さんは教室戻ってて?」


どうやら後ろで組んだ手も、もうほどいていいらしく、私は素直に頷いて教室に戻った。


「……ふっ、バカな女」

私の姿が見えなくなったあと、菅原がこんなことを呟いていただなんて知る由もなかった。


< 44/ 338 >