怒りのあまり肩を震わせる凛香を、『ペインター』先生はもう侮蔑の目で見ることはなかった。

興味を失くした様子で、彼女は淡々と問う。


「理解できないか」

「到底出来ません!」

「だからお前は、真面目に授業を受けているのに落ちこぼれのクズなのだ」


決定的な一言に、凛香は目を見開いた。

クラスメート達も、思わず先生に敵意の目を向ける。

だが――


「……そうですね」


その当事者である凛香は……諦めた様に首を傾げて微かに笑った。


「結果を見れば明白なことです……私は子供みたいに駄々をこねているだけだった。誰も言えなかったことを、先生は真っ向から指摘して下さいました。何も分からないままここを去るよりはずっと幸せです……ありがとうございます」


嗚咽交じりの凛香のお礼に、『ペインター』先生は何も答えなかった。



「気が済んだのならさっさと出て行け……と言いたいところだが、せめてお前に最後の手向けをやろう。私が作り上げた完成品と、その言葉を聞いて行け」