この『サバイバル制テストカリキュラム』は悪趣味なことに、生き残りを賭けた個人戦であると同時に団体戦でもある。

それは、『もしクラス内平均点が五十点を下回った場合、生徒全員が『強制連行』処分となる』からだ。

ならばこの先テスト難易度が上がる可能性も考慮すると、少しでも数字が稼げる人材は残した方が良いに決まっている。

それ故に、性格はゴミだが頭は回る杉浦をここで切り捨てるのはクラスにとって大損失。完全に私情を優先した新二のエゴだ。

(もし杉浦をここで切れば、俺は本当にここで殺されるかもしれないな……)

一瞬、そんな臆病な考えが脳裏を過ったが、凛香の後ろ姿を見て必死に心を静める。

俺は一体何をビビっているんだ?

ここで奴を倒さなければ、あの日の約束はどうなる? しっかりしろ俺!


「まだ返却されていない者は挙手しなさい」


その時、教壇に戻った『ペインター』先生が再び教室を見渡し、返し忘れがないことを確認する。

新二はハッと我に返ると、彼女が鞄から筒状に巻かれた大きな紙を出すのを注視した。

裏に貼られていた両面テープの表面を剥がし、彼女は黒板の左端に紙の角を貼り付る。


「では今から、第一回定期テスト順位表を開示する。まずは上位成績者三名からの発表だ」


宣言と同時に勢いよく順位表が広げられ、結果が白日の下に晒されていく。

一番端に躍る『一位』の文字。

この時ばかりは杉浦も一切の表情を消し、その下に書かれた名前をクラス全員が一斉に見つめ――愕然とした。


【一位……九十五点 東雲 秋人】


【二位……九十一点 竜崎 新二】


【三位……九十点 杉浦 拓真】