「あれ、…」

「帰るのか」

「え、ええ。でも綾は…」

「今日は俺の番だ。行くぞ」

くるりと方向転換した彼をあたしは慌てて追いかける。

幹部室にいたのは仁、その人だけ。

他のメンバーの姿は見えなかった。

「今日は、というより毎日仁が送ってない?」

やっとの事で廊下で追いつくと負けじと反論してみせた。

1週間の間、帰りに見えるのは仁の姿だけ。

「なんだ、綾が良かったのか?」

螺旋階段で一階まで降りながら、仁と話をする。