社長は唇を離すと、
「――だから、教えて?」
と、私を見つめてきた。

「君のことをもっと知りたいから、僕に君のことを教えて欲しいんだ」

社長は私の頬に手を触れた。

その手はとてもひんやりとしていて、とても心地よかった。

「熱いね」

私の頬を確かめるようにさわっている社長はそう言った。

「――ッ、んっ…」

熱を持っている頬に社長の冷たい手が気持ちよくて仕方がない。

「お互いを知って、それで満足することから始めようか?」

私を見つめながら言ってきた社長に、
「――ッ、はい…」

私は返事をした。

「悪い子かと思ったけれど、素直なところもあるんだね」

社長はそう言うと、唇をふさいだ。

今日で唇をふさがれたのは、何回なんだろう…?

そんなことを思いながら、私は彼の唇を感じていた。