しばらくは抱き合っていた私達だったが、いつまでもこうしているのもどうかと思い、起き上がると、それぞれ身支度を始めた。

それが終わると、二人で食事をとる。

そんなとき、藍原が一緒に出かけようと提案してくれた。

「それって、デート、ですか?」
「…そうだな。行きたいところは?」

初めてのデートにあからさまに嬉しそうな顔をした私を見て、藍原はクスリと笑う。

「そんなに嬉しいか?」
「はい!初めてなんです。デート」

その答えに、藍原は驚いた顔をした。

「やっぱり…おかしいですよね」

そう言って、困ったような顔をすれば、藍原は首を降った。

「…何もかも、初体験ってことだろ?逆に俺は嬉しいけど?」

「…そうですか?」
「あぁ、もちろん」

その言葉に、ホッとする。

「でも、誰とも付き合ったことがないのはなぜ?」
「幼稚園から小中高と女子高だったから…男の人と知り合うなんて皆無でした」

その言葉に、藍原は納得する。

「そんなに心配しなくていいぞ」
「…え」

「俺が全部教えるから」
「お手柔らかに」

と言えば、藍原はクスクスと笑った。