「まあ、いいや。このマンションの住民なんてさほど重要でもないし。でもここ、一人暮らしにしてはかなりいいとこだよね?」

そう、そうなんだ。

倉庫から随分と離れたところにある住宅地の一角にあるマンション。

高校生1人住まわせるには広すぎる2LDK。

それもここは17階。

誰が資金を出してるんだろう。

琢磨さんにそんなに財力があるとは思えないし。

やっぱり、親か?

でも、和佳菜はあまり自分のことを語らないからどちらにしてもわからない。

「で、なんで俺に会おうと思った」

「一応君にも忠告をしておこうと思ってね」

「それは和佳菜から聞いている。お前から聞かなくてもいい」

「和佳菜ちゃんには必要最低限のことしか伝えてないよ」

「は?」

「軽く脅しになることしか言ってない。本題はソノサキ」

「…下行くぞ」

ニコリときみのわるい笑みを浮かべた南に鳥肌がたつ。

「うん、最初からそのつもり〜」

その気持ち悪さをどうにか消しながら、二人でエレベーターに乗り込む。