日米合同捜査の一員に自分の息子が選ばれたのが余程嬉しかったのだろう。

秋人の父親は職権乱用を講じて配属させるような愚かな親とは違うから尚更だ。


「あ~、良かった、良かった!本当に良かった!」


千歩の父親も何度目かにもなる“良かった”を未だに連発している。

まるで、自分の子どもが選ばれたような喜びようだ。

むしろ、本人よりも喜んでいるのではないだろうか。

でも、それも仕方がない事。我が娘も父親同様にノンキャリ街道まっしぐらなのだから。


「お父さん、飲み過ぎだよ!この前、健康診断でお医者さんから飲み過ぎ注意って言われたばかりじゃん」


千歩は眉間に皺を寄せて父親のグラスを取り上げようとするが、当の父親は全力でそれを拒んでくる。