陽葵ちゃんは私と同じ母親譲りの黒髪ストレートである。

彼女もまた周りから「ストパーをかけてるのか？」と聞かれるくらいのストレート過ぎる髪の持ち主である。

唯一私と違うのは、髪の長さだ。

陽葵ちゃんは腰まである。

端正に整った顔立ちと華奢な体型と腰まであるストレートヘアーの彼女にキャッチコピーをつけるとするならば、“清純系美女”である。

「それがわかんないんのよ。

心当たりが全くと言っていいほど思い浮かばないよ…」

私は返事をすると、カシスサワーに口をつけた。

「でも異動になってよかったんじゃない？」

陽葵ちゃんはそう言うと、梅サワーに口をつけた。

「えっ？」

そう聞き返した私に、
「芽実がウザい暑苦しいって言ってた田原と離れることができるんだから、それでいいんじゃない？」

陽葵ちゃんが言った。