「っ……もし、私が匠の弱点見つけられたらなんでも言うこと聞いてもらうつもりなんだけど?」



「なんでもどーぞ? 別れ話もミスコン辞退もなんでも聞いてやるよ」




それは……悪い話ではない、かも。



だんだんと考えが寄ってきている私がいる。



自然に誘導されて、まんまとこの男の手の中に落ちてしまった。



そんなこと、今の私はまだ気づいていない。



「じゃあ…わかった」



口に出した自分の声が耳に届く。



一瞬、急に冷静になった。



…待って?


え?


これでいいのか、私?


!?



自分にとってどれがいい選択なのかわかんなくなってきた…!



しまった、どうしようと頭を抱えていると目の前の男からは小さな笑い声が漏れている。