「私にはよくわかんないわ」

「そりゃそうだよ
自分でもわかんないんだもん」
とまたお酒を呑む

笑えないなぁ
32歳にもなって


〜〜〜♪


また着信がなった
2回連続で鳴ると思ってなかったので
体がビクッとして携帯を床に投げてしまった


私が拾おうと手を伸ばすのと
真央が携帯を掴むのが同時だった

「ありがとう…」
携帯を受け取ろうと手を伸ばすと…


ピッ

「もしもし、慶を居候させてる者です」

「ちょっと真央⁉」
携帯を取り返そうと手を伸ばすが
真央の手が逃げるので思ったように掴めない


「慶はいつまで逃げるの?」
真央は携帯のマイク部分を手で覆って
私の方をまっすぐ見る

「家にいてくれるのは構わないけど
意地張ってないで話つけなよ
…まぁそこが慶らしいっちゃらしいけど」

「…」
そう言われると返す言葉がない
このままじゃいけない
それは誰よりもわかってる


「わかった
携帯貸して」


真央から携帯を受け取り

一つ大きく息をする

大丈夫、大丈夫…


「…和田くん?」


久しぶりに呼んだ彼の名前は
少し震えてしまって
うまく声になったかわからなかった