そしてしばらく歩き、駅へと着く。
いつも私が乗っている車両に楠木が乗ることになった。
少ししてアナウンスが流れ、電車が遠くから見えてきた。
どんな顔して会えばいいのか、正直わからなくて余計緊張してしまう。
あの日、最後の最後まで楠木に泣きついてしまった私は、恥ずかしさしかない。
そうこうしているうちに電車が私の前に止まる。
「……あっ」
見つけた。
車窓から見える、向かい側のドア付近に立っている長身の男。
圧倒的な存在感はいつまで経っても変わらない。
電車の扉が開いて、さっきよりもはっきりと彼…楠木の姿が捉えられた。
電車の中へ足を踏み入れたのとほぼ同時に、楠木がこちらを向く。