声が聞こえた。

懐かしい、声だった。

「おかあさん?」

その人は、僕の声を聞いて、ピタリと足を止めた。

「どこ行くの?」

その人は、ゆっくり歩き始めた。

「待って!」

「置いていかないで!」

「僕を、」

「ひとりにしないで!」


「さようなら。私のかわいいツバサ」