「カレンちゃん――! カレンちゃん、どうしたの! カレンちゃんっ!」

応答はありません。

しかし、電話口の向こうから、


小さな、小さな声で、カレンちゃんの必死の叫びが、


聞こえてくるのです――。



やめて。


連れていかないで。


助けて、お願い――。


もう悪いことはしません。


心を改めます。


だから、やめて――っ!


いやぁぁあああああ!!!!



「カレンちゃん! カレンちゃん――っ!」


私は――、


「カレンちゃん! しっかりして、いますぐ行くから、しっかりしてえっ!」


私は、慌てて家を飛び出すと自転車にまたがり、カレンちゃんの家へと必死にペダルをこいでいました。