「最悪、なんで雨なんか降るわけ。」
あれは・・・雨宮?!
え?僕疲れているのか?
目をこすってみたが、雨宮の姿は見えたままだ。
「・・・っ?!見、見えて・・・?!」
「いや、違う、って?!いや、あの・・・見えてます!見えてます!」
思わず2人で後ずさりした。
「かなたくんだよね?傘ないじゃん!はやく帰りなよ!」
「え?あ、うん。まあそうだな。でも僕
雨宮のこと気になるし。」
「え。」
ポツポツ… 雨の音が聞こえる。
ぼ、僕はなにをいっているんだ?!
さっきのセリフ告白みたいじゃないか?!
そう思って瞬時に顔の前でばってんを作り
「いや、そう言うんじゃなくて・・・その キモいな、さっきの、ごめん。」
「かなたくん。とりあえず家帰ろっか?」
雨宮は後ろを向きそう言った。
「は?」
予想していなかった。こんなことを言われるなんて
「そうだ、な。えっと、じゃあ、また」
そう言い、僕は身をひるがえした。
家に帰れ?心配してくれてるのか?いや、キモいから近づくなということか?そのまま僕は家まで走って行った。
「た、ただいま」
そう言うと、母が飛び出してきた。
「かなた!って?!びしょびしょじゃない!風呂入ってきなさい!」
自分が思っていた以上に濡れていた。ズボンは雨が染み込み、重くなっていた。
「は、はい、」
急いで風呂場に行き、制服と下着を脱いで風呂に入った。
湯船に浸かり、考えた。
僕、霊感があるのか?僕の家族で見える人が実はいるとか?でも見えてるのは雨宮だけ・・・
「なんで・・・雨宮なの?」
呟いた独り言が浴槽に響いた。 とたん
「兄さん?着替え置いとくねー?」
タイミングが悪い。弟のかなたがいた。
僕はハッとなり、顔を赤らめた。
「う、うん。」
「雨宮って自殺した人?」
やっぱり聞いてたのか・・・直球で聞いてきやがった
「そ、そうだけど? な、そなた。そなたって霊感ある?」
「え?ないけど?」
「・・・だよな」
「俺、やる事あるからもう出るね。」
「おー。」
ドアが閉まる音が聞こえ、誰も居なくなったところで風呂を出た。