12月17日、レオの誕生日。
昼食用のお弁当と、レオへの誕生日プレゼントであるカポとチョコレートチップのカップケーキを用意し、ツバサは家を出た。
「おはよう和希」
「おはようツバサ。それお弁当? 持つよ」
「助かる。ありがとう」
「アヤさんもうすぐ着くって。神崎さんもそろそろ来るでしょ」
数分ほど和希と話していると、絢斗がやってきた。
黒のロングコートがこれだけ似合うのは、足が長いからだろう。
「おはようございます」
「二人ともおはよう。レオはまだか、よかった」
「あの、僕プレゼントにカポ用意したんですけど……こんなので良かったんですかね……?」
「いいんじゃない? 和希教えたんだね、レオがカポ無くしたって」
「うん。あ、来たよ」
和希の視線の先を見ると、黒色の車が向かって来ていた。
その車がツバサ達の前で止まると、リアサイドウインドウが下がった。
「さっさと乗れ」
「誕生日に運転させて悪いね。おめでと」
ツバサ達は車に乗り込むと、荷物を後ろの座席に置いてクラッカーを鳴らした。
「誕生日おめでとうございます」
「おめでとう」
「おいお前ら、今飛ばしたのちゃんと片付けろよ」

雑談をしながら三十分ほど車に揺られると、目的地に着いた。
「水族館なんて久しぶりだなー」
「俺もだ」
絢斗に続いてレオが言う。
「俺はツバサとたまに来ます」
「ツバサちゃん年間パスポート持ってるんだっけ?」
「はい。四人まで割引になります」
3人分のチケットを購入し、ツバサ達は水族館側の公園へ移動した。
早めの昼食として、早起きして作ったお弁当をレジャーシートの上に並べる。
「お、レオの好きな唐揚げあるじゃん。よかったね」
本当は菅さんに教えてもらったメインメニューだ。
「お誕生日様からどうぞ」
和希に言われ、神崎さんは割り箸で唐揚げを取り、食べる。
「……美味い」
その言葉を聞けて、ツバサの心がまた、満たされた。

やっぱり、僕は、神崎さんがーー

……好き、になちゃった。