「お前知らねぇだろうけど、相当惚れてる」
だけど、そんな真っ直ぐに見つめられたら、実は本当なんじゃないかって思ってしまうけど、本当だったところで私の気持ちは変わらない。
こんな強引なやつなんて嫌いだ。
付き合ったところで、すぐ別れるのは目に見えてるって言うのに。
「もうどうにでもなれ……」
私は諦めてため息をつく。
なのに楠木は、そんな私に対して笑っている。
「なあ、もう一回キスしていいか?」
「あんたバカ?嫌に決まってんでしょ」
「まあ断ったところでするけど」
「なっ…!本当最低、大嫌い」
「なんとでも言え」
楠木が小さく笑い、また私に近づいてきた。
もちろん私は抵抗せず、ただ目を閉じてその時を待つ。
そして今度は優しく唇を重ねられた。
ずっと楠木のペースで、強引に付き合わされたこの日はまだ、始まりにしか過ぎなくて。
そう。
私はまだ、楠木の本音を知らなかったのだ。