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「おはようございます。女王陛下」

会場近くにある王族専用の部屋でつい先程まで寝ていたエイミが次女に起こされ欠伸を1つした。

アルテーナ諸国と光国の時間はズレており、アルテーナ諸国にいる家臣達との話し合いで夜遅くまで起きていたエイミは寝不足だった。

「ん〜ミーナもうちょっと寝たい...」

エイミは眠たそうに次女のミーナに言った。
しかし、ミーナは ダメです と断った。

「もう、昼でございます。
これ以上の睡眠は体に良くありません。」

ミーナはエイミを椅子に座らせ、身支度を済ませていく。

その身支度の最中にエイミの思考はすっかり起きていた。
髪をといている間に液晶画面で資料を読んでいた。

実は昨日のうちに光国、クーイ国、アルテーナ諸国の3カ国で会議を開かれた。

それは、緊急の会議であった。
その内容は、ハーメルンのことだ。

会議には、それぞれの王、女王、王子とその家臣達、
才華龍学院とローグレン魔法学院の学院長がそれぞれの椅子に座っていた。

「緊急会議とは...何があったのだ?」

クーイ国の王が聞くと才華龍学院の学院長...風座間が椅子から立ちあがり話し始めた。

「今起きている魔獣の大量発生についてです。

才華龍学院とローグレン魔法学院周辺で多く起きているこの魔獣たちは共通点がありました。」

「共通点?」

煌永が呟いた。
この場には光国、クーイ国の次期王として煌永とクーイ国のフィン王子がいる。

「はい。その魔獣たちはある薬によって操られていたのです。

その情報を得てから対策をねっております。」

「ふむ。なるほど...
しかし、その情報はどこから来たのだ?」

光国の王はクーイ国の王と顔を合わせ首を傾げていた。

魔獣のことについては報告が上がっていたが情報提供については知らなかった。

学院長が国が知らない大きな情報を持っていることがおかしい。

「入りなさい。」

風座間がそう言うと扉が開かれた。
入って来たのはそれぞれ違う制服を着た3人の大人たち。

1人の男が歩くと後ろに男と女がそれぞれ従えるようについていく。
その中の1人は朧月であった。

「...お前達は...」

クーイ国の王は どこかで... と目を凝らしていた。
そんな王の反応に少し微笑む朧月たち。

「ええ。貴方には何度か会ったことがあります。

私共はグリムズの者です。
貴方の世代なら月花(げっか)部隊はご存知なのでは?」

真ん中の男がそう言うと両国の王子以外が腰を浮かせた。

「月花部隊だと!」

これにはこれまで黙っていたエイミも声を上げた。

月花部隊...

今から17年ほど前この世に名を轟かせていたグリムズの部隊があった。

扇部隊はグリムズ内や裏の世界では有名であるが表世界でも名を残しているのがこの月花部隊。

その力は扇部隊に劣らずだが、扇部隊よりも万に通じていること。

部隊のメンバーもグリムズとハルパーの混成という珍しい部隊だ。

それによって、裏世界でも表世界でも様々な分野で名をとどろかせていたのだ。

「急に姿を消したとされているが...もしや」

光国の家臣の1人が呟き、それに男は はい と笑顔を作った。

「私共は月花部隊にいたメンバーです。
しかし、今はもう存在しない部隊ですがね。」

男はそれだけ言い、扉近くから王達が座っている場所まで移動する。

「元月花部隊隊長、月(つき)と申します。」

真ん中の男が恭しく礼をする。
肩にかかるサラサラの銀髪に月色の瞳
クーイ国特有の白い肌

陽や薬が着ている制服の長袖バージョンで左胸には様々な勲章のようなものがついた服を着ていた。

コードネーム、カイア 82 月
本名、ライア・ルグアス

暗殺処理班であり、今はその班の最高責任者。
つまり、暗殺処理班を束ねるリーダーだ。

月が言い終えると、後ろにいた2人が前に出た。
そして、朧月がさらに1本前に出る。

「元月花部隊、朧と申します。」

コードネームは、西京華 0 朧 (おぼろ)
ハルパーの次元監視班に所属

今は住んでいるアルカ島の次元の監視
さらに、次元監視班の管理長を勤める。

朧月は蜘蔬たちと会った時の制服をきており、黒地に赤色の制服だ。

朧月はそう短く言い、最後の1人と入れ替わるように1歩下がった。

そして、この3人の紅一点が前にでる。

「うちは元月花部隊副隊長、花(はな)言います。」

ふふふと微笑む花。
真っ黒のロングヘアーに透き通った水色の瞳
少し童顔でアヒル口で背が低く中学生や高校生に見える。

制服は朧月が着ている制服のスカートバージョン。
違うのは黒地に緑色の制服という所。
ハルパーの制服を着ていた。

コードネーム、陰薬 22 花 (いんやく/はな)
本名、綴璃・ルグアス (つづり)

月(ライア)の妻である花は、
ハルパーの薬剤調合班という班に所属しながらも、
グリムズの暗殺処理班にも所属する超好戦的な女性。

今は薬剤調合班で所属したての子供たちに薬剤を教えている教師。

そして、薬の薬剤関係の師である。

「3人だけか...あと8人いたはずだ」

警戒しながら、クーイ国の王は言った。
それについて月たちは何も話さなかった。

「まあ、彼らにも色々ありますからね。
1つ言えることはこの都市にいるのは私たちを含めて4人です。」

月の言うことを信用する気配がない王達だがひとまずそれは置くことにした。

ちなみにあと8人は、1人を除いて残りは部隊や組織(班)は引退している。

その中の1人は天利亜だ。
現在は命を授かっている身でアルカ島でお留守番中(主婦)。

他は巫女をしてたり、飲食店を開いていたり、教師になったり、研究員になってたり様々な職についている。