「体温は測った方がいい。
 休養室から借りてくるから待ってて」

「え、ちょッ…」


あーぁ…
止める前に行っちゃったよ。

体温計を借りるためだけに行くって
そんな事するなら帰った方がいいような気もしますが…


「…コーヒーでも飲んでよ」


さすがにこのままいなくなったら
捜し回りそうな勢いだし
社内放送でもされたら
堪ったモンじゃないからね。

素直に言う事を聞いて
大人しくしていようと思う。




―――数分後。


「37.8℃…」


うーん…。

微熱っちゃ微熱だけど
高熱ってワケでもないし
アタシからしてみたら
これくらいはかなり余裕な範囲。

借りてきた体温計に表示された
なんとも言えない数字を目にし
隣じゃ陽向さんは心配そうな表情。


「結構高いな」

「え、高いんです?」

「そうだろ。
高い方だよ」


…そういうモノなのか。
アタシは今まで
コレくらいじゃ病院なんて行かかないし
仕事はそのまま続けて
ほぼ自然治癒で治していたけど。