私は仕方なく、布団カバーのないまま洗濯機を回した。
その後は、風呂の掃除だとか和室を掃除だとかしているうちにその布団についてはあまり気にならなくなっていた。
どのみち、寝室の掃除だってさせてくれなかっだろう。
どうせ、仕事をし始めたら毎日掃除することなんてできやしないのだから、一日掃除しないくらいどうってことない。

私は、隣の和室でアイロン掛けをしながら布団の塊を見た。
息が苦しかったりしないのかしら。
飽きたり、暗いのが怖くなったりしないのかしら。
そんなことを考えた。

そのうちに11時の卵の特売セールの時間が近づいてきた。
一応、塊に声を掛けてから行くことにする。

「買い物行ってくるね。寒かったら窓閉めてね」

塊は手こそ振らないもの、機嫌よく

「いってらっしゃーい。」

と送り出してくれた。