『東京でうまくやってきたかったら……俺の言うこと聞いとけば大丈夫』


鳥肌が立つくらい甘く、艶っぽい声で囁かれた、さっきのあのフレーズ。

それが、頭の中をグルグルと行き来する。

近距離で見た理玖くんの表情が、完全に頭に焼き付いていた。

部屋に一人きりになった今でも、激しく心臓が暴れている。

今まで生きてきて、こんなにドキドキしたことなんて一度もなかった。

全身が熱くて、熱でも出してるみたいにクラッとくる。


どうしよう……。

私……東京でちゃんとやっていけるの⁈


まだまだ序幕。

本当の波乱の幕開けを、このときの私はまだ何も知らなかった。