そんな田舎育ちの私が、生まれて初めて東京に来た理由……。


『どうしても行きたい大学が東京にある』


事の発端は、進路相談で私が言ったこの言葉。

この一言が全ての始まりだった。


私の通う高校。

私立、栄光(エイコウ)学園。

県内には珍しい進学校で、将来は医者や弁護士になる人が多いとも有名。

優れた授業を求め、近隣の県からも生徒が集まってきたりする。


『それなら、東京の本校に編入するのはどうかな?』


担任の先生は私の希望に対し、そんな提案をした。

栄光学園は東京が本校。

私の通う宮城の栄光学園は分校。

つまり、栄光学園は日本に二つ学校がある。

東京の本校は宮城の分校よりもレベルが高いし、設備もいい。

両親が反対でなければ進学にも有利だし、編入して寮に入ればいい。

この話に、両親は意外にもすんなり賛成。

私の編入はあっさり決定していた。

でも……。