「もうめんどくせぇな、お前」
「それはこっちの……んっ…」
今度は私の言葉を制するために、強引に唇を塞いできた楠木。
本当に自分勝手な人間。
きつく重ねてきて、息をする暇もない。
さっきから楠木の好き放題やられてる。
なんで私は好き勝手やられてるんだろう。
今度は怒りより、悔しさが勝ってしまった。
「お前が信じなくても、俺は勝手にやらせてもらうから」
勝手にやらせてもらう?
そんなのたまったもんじゃない。
「絶対私はあんたの彼女になんかならないから」
「…へぇ、どうなるか楽しみだな」
負けじと言い返す私を見て、楠木は悪そうに笑い、ようやく私から離れる。
その隙に私は急いで席に戻り、文化委員の仕事を放置して逃げるように教室を後にした。
二回も楠木にキスをされ、わけのわからないことを言われた私は頭の中が混乱していた。
だから今はプライドを捨て、楠木の前から逃げたのだった。