「……あ、うん。もう大丈夫、ごめんね」


体調が悪いからと嘘をついたことに対して後ろめたさが芽生えてくる。

体の調子が悪いわけではないけれど、落ち込んでいて外出するような気分じゃなかったと、正直に話していればよかったのかもしれない。

でもそれだと、優しいふたりは何かあったのかと必ず心配してくれるから、やっぱり気を使わせたくないというのもあるし。

──本多くんへの気持ちは、まだ自分の中だけに仕舞っておきたかった。



「じゃあさ!行けなかったカフェ今日行こうよ〜」


伊代の提案に、桃香も「いいね」と手を叩く。


「……え? ふたりで行ったんじゃなかったの?」


ぽかんとするあたしに、ふたりは同時に眉をよせて。


「あんたがいないのに行くわけないじゃん」

「せっかく行くなら3人で行かないとねえ」


そんな言葉を聞いて、嬉しさ半分。結局気を使わせてしまっていたんだと、後悔半分。



「なんか、ごめんね。ありがとう、ふたりとも……ほんとに好き」