本多くんと一緒にいると、過去のことも今のことも、気持ちも……ぜんぶ知りたくなる。
もっとそばで熱を感じていたいと思った。
エナさんとの繋がりを知って傷ついた。
冷静じゃいられなくなって、倉庫を飛び出してしまうくらいに……。
“ おれが、付き合おうって言っても断る? ”
からかわれただけ……だった。
うそつき。
守りたい女の子がいるくせに。
最初から本気じゃなかったんだ。
思わせぶりな態度で、あたしを振り回して。
今ごろ、エナさんと──。
三成の前では流れなかった涙が、今になってポロポロとあふれ出る。
頬を伝って、落ちた地面に黒いシミをつくった。
一人になっただけで、おかしいくらいに弱くなる。
こんな自分は知りたくなかった。
あの人のことが好きなんだって……これは恋なんだって、いやでも自覚してしまう。
次々と流れてくる涙を必死で拭いながら
初めて本多くんのことを
── “ ひどい人 ” だと思った。