今日はついてないな、と思いつつ席へと戻る。
まあ男子なんて正直誰でもいいし、なんなら私一人でやればいいか、なんて思っていたら突然教卓周辺が騒がしくなった。
何故だろう、嫌な予感がする。
恐る恐る前を向けば、教卓の前には楠木が立っていて。
「男子は楠木で決まりだな」
一瞬、音が止まったような感覚に襲われた。
嘘…?
聞き間違い、だよね?
「いいなぁ、田城さん」
「えっ、普通に代わってほしいんだけど」
だけど、どうやら聞き間違いじゃないらしかった。
嫌いだと強く思えば思うほど、こういう運命の悪戯というものが起こりやすいのかもしれない。
「ねぇ田城さん、私代わってあげようか?」
その時、近くの席の女子が私に話しかけてきた。
いつもはよく騒いでる、うるさい女子グループのうちの一人として認識していたけど、今だけは救世主に見えた。