「でも、あたしは」

ほしいか、なんてわからない。


本当のことは、自分のことでさえ分からない。

それでも、確かなものが1つ。

「それを嬉しいとは思ってない」

ねえ、あたし分からないの。

喜びを感じられないのは、それはあたしが欠落人間だから?

それとも…。


「嬉しい、ねえ」

考え込むそぶりを見せる琢磨が、なにを考えているかは、読むことなんてできない。

なにもかも分からない欠落人間には、もうこうなるとどうしたらいいかさえもわからない。

「まあ、だからあいつらがいいと思ったんだけど。お前の性格は変わらんでもいいが、人の気持ちの理解は和佳菜の課題だな。それをきっとあいつらが教えてくれる」

「あの人たちが?期待できないんだけど」

「あいつらもやってるつもりはねえだろうがな。それもどうでもいいか。とにかく関わるって決めたんだろ?なら、向き合え」

「明日からね」


「和佳菜…」

琢磨はため息をついたけど、知らないふりをしてやり過ごす。