「おはよう」
翌朝、爽やかに圭太がやってきた。
まるで、此処に来るのが、当然のごとく。
開店準備をしていた芽以が、
「どうしたの?」
と問うと、
「いやいや。
今日は会社休みだから、手伝ってやろうかと思って」
と言ってくる。
「お前、本当に休みなのか」
と小振りなフライパンを手にしたまま、腕を組んだ逸人が、厨房から覗き、言ってくる。
圭太が、
「今日、土曜だろうが……」
と眉をひそめていた。
「クビになったんじゃないのか」
「俺がか」
「社長だって、クビになるご時世だぞ、株式会社なら」
まだ社長にもなっていないお前なら簡単になるだろう、と逸人はまた、嫌な託宣を告げる。