改めてもう一度、目の前の建物を見る。
扉という扉は全て閉められていて、中の様子を知ることはできない。
「怖いのか? 別にヤバイ場所じゃねーの」
「なんか、迫力が……」
ふはっと三成くんが吹き出す。
「なんだよ、迫力って」
「これ、中にいっぱい人がいるの……?」
「あー、どうかな。 別に集会日じゃねえし、皆、俺たちが来ることも知らねえだろうしな。中島が喋ってたら別だけど」
「……そっか」
こんなところで怯むわけにはいかない。
あたしは自分で付いてきたんだから。面白そうだとか、単なる興味本位じゃなくて……。
本多くんのことを──抱えているものも全部、知りたいと思ったから。
「七瀬が連れてきた女なんだから、堂々としてろ。いいな」
ぽん、と優しく背中を押された。
本多くんも隣に並んでくれる。
ふたりに挟まれて、あたしは
“ 青藍 ” の入り口に立った。