間もなくして車が停車した。
乗っていた時間は20分くらいだったと思う。

車って数十分もあればかなり遠くまで行けるんだなあ……なんて呑気なことを考えながら外に出た矢先、あっと腰を抜かしそうになる。



「わあ、大きい‥……」

思わず口にしてしまうほど。


倉庫と言われれば確かに倉庫……だけど。


手前に待ち構えるのは厳つい鉄の門。

二階建てで、横にもかなりの広さがあり、倉庫周辺の敷地も、コンクリートで綺麗に舗装されている。

プレハブを少し大きくしたようなものを想像していたから、その違いに戸惑った。


やっぱり、あたしなんかが来ていい場所じゃない……ような気がする。



「おい萌葉。そんなとこで固まってんな、行くぞ」

「あっ、はい……」


返事をしつつ、柳居さんの車をもう一度振り返る。
ありがとうございました、とお辞儀をして見送った。