「相手の隙を突くために利用した」


ぽつりと、沈んだ声が響く。


「任務こなしたあと、すぐに去ればよかったのに、おれは自分がほしい情報のために、そこに残って探りを入れてた」

「……そんな身勝手なことしてたら、うっかり見つかっちまったってやつ?」


「そう、当たり。どうしようか迷って、そのまま逃げた方がよかったんだろうけど、少し勝算があったから」

「自分の欲望に負けたってわけか。どんな筋書き立てたんだよ」



本多くんは窓の外を見つめたまま、少し間をおいて。



「まず、わざと捕まって、反発的な態度で相手を怒らせるでしょ。相手にある程度痛めつけられたところで、タイミングを見計らって中島に電話をかける……って感じ……かなあ」


「はあ? リスキーだな。マゾかよ。てかその作戦イマイチ理解できねーんだけど、中島に電話をかける理由はなんだ?」



三成くんは、呆れたようなため息と共に首を傾げた。


「じゃあ仮に三成がおれの敵だったとして。暴力に耐えかねたおれが、目の前で味方に助けを求めようとスマホを取り出したらどうする?」

「あー? 真っ先にそのスマホ奪うな……たぶん」

「でしょ、そういうこと」