仕事の金の計算は出来ていたはずなのに、何故だ……と思っていると、

「だって、住み込んでもらうんだから、普通より高いんだろう?」
と言ってくる。

「いや~、家賃がいらないんだから、安くていいんじゃないですかね?」
と言うと、

「二十四時間、働かされるのにか?」
と逸人は真顔で言ってくる。

「……二十四時間、働かせるつもりだったんですか?」

 そう芽以は訊き返した。

 っていうか、今、結婚するまでは給金を払おうって言いました?

 じゃあ、結婚したら、無給?

 無給で無休?

 いや、よく考えたら、夫婦だから、給与が出なくても、特に問題はなかったのだが。

 二十四時間、タダで働かされるっ。

 しかも、この、ひとつのミスも許さなさそうな人の下でっ、というのがインパクトが強く、芽以は思わず、

「じゃあ、結婚しませんっ」
と言ってしまっていた。