『今すぐ来い。
 中通りのバス停前の、白い壁に緑の看板の店だ』

 は? 店? と芽以は時計を見る。

 もう十一時半を回っている。

 呑み屋かな? と思っていると、
『俺の店だ』
と逸人は言う。

「……俺の店」

 莫迦みたいに、逸人の言葉を口の中で繰り返す。

 ちょっとなにを言われたのかわからなかったからだ。

 逸人は確か、圭太とともに、父親の会社に居たはずだが……。

『白い壁に緑の看板。
 住所は中通3-9……』

 相変わらず、マイペースな逸人は、いきなりツラツラと住所を言い出す。

 ひーっ、と慌てて芽以はメモを取りに、リビングへと走った。